こんにちは!
前回に続きトレカスタートさんの記事を執筆させて頂きます。
福島県で活動しているポケモンカードチーム「チームぞうさん」所属の「いば」と申します!
当記事では2024年9月22、9月23日に開催された「チャンピオンズリーグ2025東京」の結果をみて、環境デッキの構築の推移や注目ポイントをまとめてみました。
入賞デッキ考察
では早速、マスターリーグ上位入賞デッキから!
従来から環境でよく見かけていたデッキが綺麗にばらけて概ね均等に結果を残していますね。
<<タケルライコex>>
優勝者の”フジタ ハルト”選手が使用したデッキです。
<<タケルライコex>>と<<オーガポンみどりのめんex>>が4枚ずつ採用されており、最初のターンでしっかりと必要なポケモンを展開しやすい構築になっています。
これまでよく見かけた構築と違う点は、<<勇気のおまもり>>、<<ハイパーボール>>が不採用となっている代わりに<<トレッキングシューズ>>が採用されています。
また、<<夜のタンカ>>も従来の平均的な構築より多く採用されていて、<<ポケストップ>>と併せて序盤〜中盤で強い山札を作る力が上がっています。
チャンピオンズリーグの優勝構築は今後のシティリーグで流行する構築にも大きく影響を与えるので、この配分は要チェックですね。
試合終盤の<<ナンジャモ>>や<<ツツジ>>による手札干渉耐性を上げるアプローチとして、構築単位で山札の圧縮力を上げるというのは個人的に大好きな考え方です。
「俺はデッキの最大値が下がっていても、事故らなければ勝つぜ」という気概が感じられてクールだと思います。
また、注目すべき点は<<ロストスイーパー>>の採用です
これにより、最近流行っている<<ヒーローマント>>を採用した<<リザードンex>>デッキ、
<<タケルライコex>>ミラーや<<サーナイトex>>デッキに採用されている<<勇気のおまもり>>をロストゾーンに送る事が出来るようになることで、試合終盤に相手のプランを崩して勝利する事が可能になります。
サポート<<ブライア>>も入っているので、<<リザードンex>>デッキと対面した際、雑にサイドを1枚しか取れないポケモンを試合序盤に倒すことができたり、
終盤は相手がサイドを1枚しか取られないポケモンだけの盤面を作って<<かがやくリザードン>>を押し付けてきた時も、<<ブライア>>を使用して2-2-2のサイドプランを通す事が出来ます。
<<タケルライコex>>デッキはメインアタッカーがサイドを2枚取られるポケモンなので相手が2-2-2でサイドを取り切るプランを狙ってくることが多く、比較的<<ブライア>>を強く使う事が出来ます。
楽園ドラゴーナで収録され、このデッキに組み込まれると予想されていた<<ラティアスex>>ですが、優勝者のリストには採用されていませんでしたね。
不採用理由として考えられるのは以下のニ点です。
①<<カビゴンLO>>への勝率を上げるため
シェア率は低いものの勝率はかなり高い<<カビゴンLO>>。
その強みは<<カビゴン>>の特性「とおせんぼ」にあり、相手の技を使えないポケモンをバトル場に縛りながら、サポート<<野党三姉妹>>や<<ビワ>>で相手の山札を削り切るデッキです。
<<クセロシキのたくらみ>>により山を掘り切るスピードが更に上がり、そのパワーは環境デッキのほぼ全てに互角以上で戦う事が出来ます。
<<ラティアスex>>の特性「スカイライン」は、自分のたねポケモンの逃げるためのエネルギーがすべて無くなるというテキストなので、<<カビゴン>>の特性「とおせんぼ」を無効化することが出来ない上に、<<ラティアスex>>も縛られる対象になってしまいます。
<<ラティアスex>>の枠を従来通り<<いれかえカート>>にする事により、ACESPEC<<プライムキャッチャー>>と合わせてポケモンを入れ替えることのできる回数を確保して<<カビゴンLO>>への勝率を上げることができています。
②ベンチが狭くなるため
<<ラティアスex>>をベンチに置いた場合、スタジアム<<ゼロの大空洞>>を採用しなければ後続のアタッカー準備やドローソースの<<イキリンコex>>、<<キチキギスex>>、<<かがやくゲッコウガ>>を置くスペースが無くなってしまうことが危惧されます。
<<リザードンex>>
シティリーグ2025シーズンでも活躍を続ける<<リザードンex>>デッキ。
今回のチャンピオンズリーグ東京2025でも多くのプレイヤーが使用して結果を残しており、その中でも特徴的だった2つの構築について紹介します。
”ニシカワ ハル”選手と”アライ ケイト”選手が使用しそれぞれ12勝3敗、11勝4敗と好成績を収めたデッキリストになります。
特徴的な採用としてはACESPEC<<プレシャスキャリー>>、<<ベラカス>>、<<ワザマシン エヴォリューション>>が見られます。
シティリーグでも採用されているリストが散見されている<<プレシャスキャリー>>は「たねポケモンを好きな数ベンチに出せる」効果を持つACESPECです。
<<リザードンex>>デッキは最初のターンに<<ヒトカゲ>>、<<ポッポ>>、<<ヨマワル>>、<<ロトムV>>と盤面に出したいポケモンが多いという課題点を、
<<ペパー>>1枚から<<プレシャスキャリー>>をサーチすることで後攻1ターン目から解決することが可能です。
また、ポケモンを展開するカードを<<プレシャスキャリー>>に集約させることでデッキにスペースが生まれて環境デッキ各種に対するメタカードなどを多く採用できるのも強みとなっています。
最初のターンに使用するため他のACESPECを警戒させることはできませんが、
<<リザードンex>>デッキの課題でもある序盤の安定性を飛躍的に上げることのできる強力な1枚となっており対戦数の多いCLではとても重宝します。
これまでメジャーな構築で採用されることのなかった<<ベラカス>>
自分のベンチポケモンを相手のポケモンのワザのダメージや効果から守ることの出来る強力な特性「スフィアシールド」を持つポケモンです。
つまり現環境で猛威を奮っている<<レジドラゴVSTAR>>のワザ「りゅうむそう」による「ファントムダイブ」や「トライフロスト>」の追加効果によるサイドの複数枚取りを防ぐことができます。
また、同じく<<ドラパルトex>>デッキの「ファントムダイブ」や<<パルキアVSTAR>>デッキに採用される<<かがやくゲッコウガ>>のワザ「げっこうしゅりけん」の対策にも有効な1枚です。
ワザのダメージ以外にも<<ドラパルトex>>デッキや<<サーナイトex>>デッキに採用されている<<ワザマシン デヴォリューション>>の効果も防げる数少ない対策カードであり、現環境でとても刺さりの良い1枚となっています。
また、<<ベラカス>>の採用に伴い採用されている<<ワザマシン エヴォリューション>>は、
自分のベンチポケモン2匹までをそのポケモンから進化するカードに山札から進化させることのできるカードです。
上記で紹介した<<ベラカス>>ですが、1進化ポケモンであり、本来であれば進化前の<<シガロコ>>を場に出して1ターン待つ必要がありますが、
<<シガロコ>>を出した次のターンに気絶させられてしまうと<<ベラカス>>に進化でず、特性を発揮できない状態となってしまいます。
そのため<<シガロコ>>を出したターンにも進化することができ、次の相手ターンにはベンチポケモンを攻撃する技を防ぐことができるためとても相性の良い1枚となります。
<<ベラカス>>以外にも1進化ポケモンとして<<リザード>>と<<サマヨール>>が採用されており、
<<ワザマシン エヴォリューション>>によって進化させることで、次のターンには<<ふしぎなアメ>>を使わずとも<<リザードンex>>と<<ヨノワール>>に進化することができるようになるため、
自分の動きを強化することもできます。
<<プレシャスキャリー>>の採用によって生まれた枠を活かしてこれらのカードを採用することができ、様々な環境への対策カードを入れて多くの対面に対して高い勝率を出すことの出来るデッキリストとなりました。
“ヤマモト シズヤ”選手が使用し、見事BEST4となったデッキリストです。
こちらのリストにも特徴的な採用として<<ワザマシン デヴォリューション>>、<<ピィ>>、<<ジャミングタワー>>の採用が見られます。
<<ワザマシン デヴォリューション>>
「相手の全ての進化ポケモンの進化カードをそれぞれ1枚はがして手札に戻す効果を持つ」ポケモンのどうぐです。
<<ふしぎなアメ>>を使用して進化する2進化ポケモンを主軸としたデッキに対してとても強力な1枚となり、<<リザードンex>>デッキや、苦手な<<ドラパルトex>>デッキにとても効果的に働いてくれます。
対策札が少なく上手く使用できればこのカード1枚でゲームを決めることも出来る強力な1枚となっています。
<<ピィ>>
ワザ「にぎにぎドロー」で自分の手札を7枚になるようドローすることのできるポケモンです。
<<リザードンex>>デッキだと序盤のドローソースとして<<ロトムV>>の特性「そくせきじゅうでん」がありますが、
<<ロトムV>>をベンチに置いてしまう事でサイド2枚を簡単に取られてしまう可能性があります。
その一方、<<ピィ>>はバトル場に出たとしてもサイドを1枚しか取られることはありません。
バトル場に出て技宣言をする必要があり、ベンチに出すだけでドローすることのできる<<ロトムV>>と比べて<<ピィ>>は使いずらい印象はありますが、
現環境最強とも名高い<<タケルライコex>>デッキや<<ドドロクツキex>>デッキなど後攻1ターン目や先行2ターン目に高火力を出していくデッキに対しても、
サイドを1枚しか取らせないことで容易に逆転を狙うことも可能です。
<<ロトムV >>とも差別化ができており、<<ロトムV>>と合わせて序盤のドローソースの2枚目ともなる今後採用が増えそうな1枚と予想します。
<<ジャミングタワー>>
お互いの場のポケモンについてるポケモンのどうぐの効果を無効にするスタジアムです。
環境デッキのポケモンのどうぐとして<<リザードンex>>デッキに採用される<<まけんきハチマキ>>や<<森の封印石>>、最近採用が増えている<<ヒーローマント>>、
<<サーナイトex>>デッキの<<ワザマシン エヴォリューション>>と<<ワザマシン デヴォリューション>>などが挙げられ、
環境にポケモンのどうぐを多用するデッキは非常に多いです。
<<ジャミングタワー>>を採用することで、それらのデッキの動きを妨害することができます。
自分の<<ワザマシン デヴォリューション>>や<<森の封印石>>の効果を止めてはしまいますが、苦手な<<ドラパルトex>>デッキや<<ワザマシン デヴォリューション>>への対策として非常に有効な1枚です。
こちらのデッキも既存の<<リザードンex>>デッキをベースに環境デッキへのメタカードが採用されています。
特に今の<<リザードンex>>デッキでは珍しい<<ワザマシン デヴォリューション>>や<<ジャミングタワー>>を採用することで相手の意識外から戦うことができる構築になっています。
今後の<<リザードンex>>デッキについてですが環境的に向かい風となることが考えられます。
理由としては、CL東京2025でも多くのプレイヤーが使用した<<レジドラゴVSTAR>>デッキや、ポケカ四天王の”シマダ ダイチ”選手がDay2で使用した<<テツノイバラex>>デッキの増加が考えられ、
これらのデッキに<<リザードンex>>デッキは不利でありながら、対戦でマッチングする可能性が増えてしまいます。
対策として<<レジドラゴVSTAR>>に対しては、上記で挙げました<<ベラカス>>を採用したり、<<テツノイバラex>>に対しては<<キャンセルコロン>>を採用したりなど構築面で工夫をする必要があります。
<<テツノイバラex>>
8月に開催されたWCS2024で優勝した<<テツノイバラex>>。
“Fernando Cifuentes”選手使用 <<テツノイバラex>>デッキ
<<テツノイバラex>>の特性「イニシャライズ」で「ルールを持つ未来ではないポケモンの特性を止める」ことによって、
妨害カードを絡めながら相手の動きが止まっているうちに攻撃し切るのがコンセプトのデッキです。
<<リザードンex>>、<<ピジョットex>>、<<ルギアVSTAR>>、<<パルキアVSTAR>>、、<<レジドラゴVSTAR>>、<<ロトムV>>、<<キチキギスex>>、<<イキリンコex>>、<<オーガポンみどりのめんex>>、<<かがやくゲッコウガ>>など、
特性を止められるルールを持つポケモンの範囲が非常に広く、多くのデッキに対して窮屈なゲームを強要できます。
<<クレッフィ>>、<<ハバタクカミ>>などの、<<テツノイバラex>>に対して有効なカードは、<<ロストシティ>>の採用によりきぜつさせた後にロストゾーンに送ることである程度の対策ができています。
また、<<ミミッキュ>>などの<<テツノイバラex>> からワザのダメージを受けないポケモンも、<<キャンセルコロン>>を採用することで突破することができます。
現環境は<<オーガポンみどりのめんex>>や<<リザードンex>>など、ルール持ちのポケモンの特性でエネルギー加速をするデッキが多く、
それらは「イニシャライズ」が働いている場においては無効化されてしまうため、1ターンに1度だけの手札よりエネルギーをポケモンにつける行動(手張り)だけでエネルギーを供給していく必要があります。
さらに<<クラッシュハンマー>>を使用することでエネルギーをトラッシュすることもでき、攻撃するために必要なエネルギー要求を更に上げることもできます。
この動きを<<ジャッジマン>>で序盤から相手の手札を減らしながらできるため、ロック性能が非常に高いです。
<<テツノイバラex>>が2人もTop16に上がっていたのは個人的に予想外でした。
確かに明確に苦手とする対面が<<サーナイトex>>くらいであるため環境に有利な対面が多く、今回デッキ勝ちをするのなら<<テツノイバラex>>を使うという選択が正しかったと言えるかもしれません。
今後のシティリーグでも当たることを意識しないといけなくなりましたね。
今後の環境予想
<<テツノイバラex>>がデッキのメジャー度の割に結果を出したので、今後の環境でも今以上にマッチすることが多くなることが予測されます。
それに伴い<<リザードンex>>や、<<ルギアVSTAR>>デッキに対策カードを入れなかった場合、<<テツノイバラex>>に対して無力になってしまうデッキは使いづらくなるかもしれません。
環境トップの<<タケルライコex>>は構築を歪めずとも<<テツノイバラex>>と渡り合えるのでこのままの勢いを保つことでしょう。
そしてこのような環境の中で、僕のオススメデッキはそれらに両方有利を取れる<<サーナイトex>>です!
チームぞうさん「さつき」Day2使用通算11勝4敗
最後に
ここまで読んで頂きありがとうございました!
今回のチャンピオンズリーグは目新しいメタ外の天才デッキではなく、既存のデッキを突き詰めた人たちが結果を出したという印象を受けました。
同じデッキタイプでも微妙な環境の変化や有識者の開拓によって構築や採用カードが変動していくの相当面白いですね。
今環境にあるデッキは繊細なプレイングを極めた人だけが勝てるものばかりなんだなあと再認識して、1カードゲーマーとしてやりがいのある環境だとしみじみ思います。
それでは!